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公園条例の違和感

品川区勝島3丁目にあるしながわ区民公園は、品川水族館などがある区民憩いの場である。埋め立て地を利用した南北に長いスペースだ。そこでベリーを連れて散歩していた時のこと。公園管理者なのだろう、その人が「こら!ここは犬を連れて入っちゃいかん」といきなり私に向かって怒鳴ったのである。周りには小さい子供たちが遊んでいる。呆気に取られた私に向かって、さらに「すぐここから犬を出しなさい」と続けたのである。気分を取り直し、落ち着いてその管理者に対し、「おじさん、ここは公園ですよ」とたしなめたが、「犬は連れて入ってはいけないと公園の入口にある案内板に書いてあるだろう」と言う。確かに児童公園などには犬のイラストに×印が書いてあって入園を禁止している場面が見受けられるが、それにしてもいちいち案内板を見る習慣などはない方が自然である。こういう立場の方に論争を始めても仕方がないのでその場を離れた。いやはや、犬連れ、いや犬にとって住みづらい社会、日本を垣間見た事例である。

この経験をしたのが品川区の公園だったので、区の公園緑地課に問い合わせをしてみた。担当者曰く、公園とは誰でもが利用できるスペースなので、犬嫌いの方や小さい子供、高齢者に配慮して、犬の入園を禁じているという。区の公園条例第3条、及び第4条に記載されている公園管理に支障をきたす行為に当たるらしい。過去に、犬に噛まれたとか犬の糞の後始末をしていなかったとかの苦情が区に寄せられたのがそうした条例の適用を受ける結果となったという。確かに過去に不幸な出来事があったことは事実であろう。また、過去の飼い主の不始末が公衆の衛生を阻害したことも事実に違いない。しかし、こうしたことは飼い主の意識及び行為を改善させることで解決される。噛み癖がある犬ならば飼い主が注意すれば良い。小さい子供に対しては十二分に注意を払うことは言うまでもない。糞の不始末は公衆が目を光らせれば良い。条例適用の事例さえクリア出来れば、当然のこと適用外となる。行政が硬直していなければの話だが。

犬は最も人と縁がある動物である。人間が野生から犬を脱皮させた。人間のために役立つことのために改良されてきた歴史がある。例え愛玩であっても。しかし犬は相当訓練されてきたものでも、人間とは違う。当たり前だ。情報伝達も情報収集も鼻と耳で行なう。それを遮断させるとストレスが昂じ、扱いにくい犬となる。そうならないためには、住宅事情の悪いわが国では公園みたいな広いパブリックスペースで犬同士のコミュニケーションを十二分に取らせる必要があるとなる。しかるにその公園は犬の入園禁止の処置が取られている。ストレスが溜まり、犬嫌いにとってますます嫌な存在と化す。これは悪循環以外の何物でもない。

広辞苑によれば、「公園」とは「公衆のために設けた庭園または遊園地」とのこと。その公園を管理する行政が、公衆の要望に応えることは理に適うことであるのは違いない。しかし、そこには人間以外の配慮が抜け落ちているのではないか。管理対象が明確ならば、同じ地域に住むペット、少なくとも飼い主が明確な登録の済んだ飼い犬の愛護的配慮も同様に認められて然るべきと考えられやしないだろうか。犬を怖がるからという理由で子供から犬を遠ざければ、犬嫌いの人間に育つのはある種当然である。人間以外の動物の存在を認識することが、次代を担う子供たちの情操教育にも役立つことは言うまでもない。また、犬の糞を片づける行為を見させることで、公共性という概念も植え付けられよう。私自身、犬を撫でたいという子供たちの要求に対しては安全を十二分に確保した上で常に積極的に応じてきた。「ありがとう」と言う子供たちの輝く目に、犬に対する嫌悪感のかけらなどない。

1998-12-19


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