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夏場の過ごし方

暑さで食欲がない時には、スルスルと喉に流し込めるそうめんを食することが多い。食欲減退の時期にはなかなかありがたいメニューである。おまけに消化に良いという効果もあることから、冷たいものを多飲し荒れている内臓の負担も減らしてくれる。日本の夏には必須食品である。いつ頃からこのメニューが登場したかであるが、江戸の中期のことらしい。日本史はあまり明るくないが、戦乱が静まり、天下泰平の世になるにつれ、町人、なかんずく商人が徐々に勢力を増し、流通機構も整備されるに従い、今で言う企画商品である新しい食材が江戸に登場してきた中のひとつという。その企画商品が平成の現代まで支持されてきたのは、冒頭に記した効果に他ならない。先人の知恵である。

暑さで食が細るのはなにも人間だけではない。犬にとっても湿度の高い日本の夏は食欲減退の要因となる。こんな時は先人の知恵に倣い、「消化に良い」食品を調理してあげることも肝要であろう。そうした内容の書籍も多数出版されており、本屋で検討することをお奨めする。幸いなことにベリーは食欲が減退するということがない。暑さでうだっている時でも、食事の用意のそぶりを見せると、現金にもぱっと飛び起き、餌入れの前に鎮座する。あさましいものである。従って、食に関していえば夏場対策の必要がない。

ベリーにとってもっとも必要な夏場対策は、黒毛ということもあり、もともとは北国の犬であることから、ヒートアイランド東京での暑さそのもののである。土の庭で生活できる環境ならば、自ら穴を掘ってひんやりした環境を作れるのだろうが、アスファルトで覆われているのでそういうわけにはいかない。あまり感心はしないが、あまりにも暑い日にはクーラーの効いた部屋に入れることとなる。

散歩も他の季節と同じようにする必要はないと考えており、かつ実行している。散歩は犬にとって食事と同レベルの感心ごとである。ご近所を嗅ぎ回ることで、犬社会の情報を仕入れ、また途中で出会う犬とのコミュニケーションも大切な行為である。朝晩の散歩タイムは排泄のタイミングとも一致する。事程左様に散歩の重要性は分かっている。しかし、晩の暑さが和らぐ時間帯ならいざ知らず、朝の日差しはかなりきつい。いつからであろうか、ベリーの朝の散歩タイムは7時台となっている。この時間帯はすでに真夏の太陽が顔をみせているのである。夏場はもう少し早い時間にすべきなのだが、早起きは苦手であるという自己都合もさることながら、習慣とは恐ろしいもので、ベリーもそれを望まない。ごく偶にではあるが、6時頃に早起きして(ただ単に寝苦しくて起きただけであるが)ベリーを誘いに行っても、なかなか起きようとしない。目だけ開けてまだ早いよ、と文句をたれている風情である。そこで朝は短い排泄だけの旅に出ることとなる。無理してたっぷりと歩かせることはない。体が人間よりはるかに地表に近い犬にとって、人間が暑いと感じる以上に苦痛だと思えるからである。

また、皮膚が弱いので対蚊対策も必要である。とはいっても犬用の蚊取り線香を炊くぐらいであるが。正直言って気休め程度のものであろう。夜の公園に10分ほどいれば、手足首筋に何箇所も刺されてしまう結果となる。犬とて同じこと。外に出ないわけにはいかないし、これはどうしようもないことなのである。刺されれば掻きむしる。血が出る。かさぶたとなる。その繰り返しである。その部位の毛をつまむと面白いように抜けてしまう。従って所々禿げ状態の個所が出来てしまうのである。見た目格好悪いし、痛々しいこともあり、成犬になる前は少しでもそういう状態になったら慌てて獣医の所に駆け込んだものだった。しかし最近ではそうだからといって何も処置などしない。ベリーを観察しているとそういった部位をよく舐めており、それが自然治癒力を誘引し、秋口にはすっかり直っているのをここ数年の経験で得ていたからである。積極的に何もしないというのがこの場合の対策である。生物の生命力を信用することも、重要なことなのである。

1999-08-25


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