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山へ行こう

大きめの家庭犬でも乗車できる交通機関をご存知だろうか。御岳山に昇る御岳登山鉄道のケーブルカー、がそれである。今から3年前の平成8年秋、紅葉を見に行こうと奥多摩へのドライブの途中に寄った時のこと。ケーブルカーに乗ろうと思ったのは、予め6分程で御岳山駅に着くということを知っていたので、せいぜい往復40分程の間なら、ベリーを乗車口の滝本駅前に繋いでおいても問題なかろう、と思ったからだ。もちろんこの時点で犬がケーブルカーに乗れるなんてことは知る由も無い。そこで、駅前の駐車場に車を停め、切符売場で犬を繋いでおける場所を尋ねたわけである。帰ってきた言葉に我が耳を疑った。「この犬も一緒に乗れますよ」。しかも子供料金とのこと。飛行機には大きめの犬でも乗れることは知っていたが、それは貨物として、つまりモノ扱いである。ところがここでは人と一緒に、しかも乗車券を買って乗客として乗ることが出来るのである。御岳登山鉄道万歳である。

車以外の乗り物などベリーにとっては初体験であったので、乗る時は少々緊張した。が、それも取り越し苦労だったようだ。乗車中は、車の時と同様、実におとなしくしていたからである。ざっと見渡しても犬はベリーだけであり、私自身一緒に乗れたことに驚いているぐらいだから、回りの人が怪訝そうに見ていたのは致し方ないだろう。

御岳山駅でもう一つ驚きが加わる。ここから展望台までは、スキー場でお馴染みの一人用のリフトで上がっていくのだが、ここでも犬とどうぞと言うのである。といっても犬一匹でリフトに乗れる訳がない。そこで30kg近い(当時、今は超しています)ベリーをよいしょと抱っこして漸くの思いで乗りこむ。展望台までは100m程の距離だが、割と時間がかかるので、その間、ずっしりと重いベリーを抱きかかえながら座すのは結構辛かった。降りる時も一苦労。右手はリフトの鉄棒を持ちつつ、左手一本でベリーを降ろし、自分も慌てて降りるといったありさま。まるでスキー初心者に戻ったような気分。

ベリーと一緒にここまで上がって来れたので、当初の、奥多摩湖畔で紅葉を楽しむという穏やかな予定を大幅に変更。御岳山の空気が実に清々しかったせいもあるが、それ以上にここで味わった経験に感動し、紅葉も楽しめる大塚山までの山歩きを選択したのである。そこまでは通常15分ほどの距離であるが、犬連れ子供連れ、さらに紅葉見学も兼ねているのでたっぷり片道30分程かけた。まあ、それでもハイキングに毛が生えた程度だろうが、これが実に爽快。この時までベリーと一緒に山歩きなどしたことがなかったが、この御岳山の思わぬ経験のお陰で、その良さを味わうことが出来たというわけである。

山歩きは山を楽しむ一つに過ぎないが、猟をするわけではなし、冬山でテントを張るわけではなしの俄か犬連れハイカーとしては、それで十分である。軽くハイキングで汗を流す手軽さこそがありがたい。この手軽さを享受するには、あまりハードな場所ではなく、車でのアクセスがよく、車を停めておける場所がある、といった諸々の条件さえ満たせばいい。

丹沢。ハイカーのメッカとして知られるこの丹沢は、犬連れハイキングを手軽に楽しめる”山”としてお薦めである。上級者向けの本格的なコースも多々あるが、先に挙げた条件を満たす場所も用意されている。それが塔ノ岳に至る大倉尾根コース。秦野市の大倉入口から水無川を北上すると秦野戸川公園があるが、ここは比較的新しい公園で、施設も充実しており、水遊びが手軽に楽しめるファミリー向けパーク。ここの広めの駐車場に車を停めれば、目指す大倉尾根登山口まで数分といったところである。このコースは起伏もあり、体力と時間を推し量って途中で引き返す心構えでのぞめば、手軽にハイキングを楽しめる格好の場所と言えるだろう。

もう一ヶ所。西伊豆の雲見にある烏帽子山(標高163m)は、海に突き出た山だから少し離れた所からでもすぐ分かる。浅間神社がある雲見のシンボルである。そのきつい勾配の山道を登った先にある畳二畳ほどの頂上展望台から見る景色はまさに絶景の一語。三方海に囲まれ、遠く富士山を真正面に拝むことができる。ベリー共々ヘトヘトになるも、疲れなど瞬時に吹っ飛ぶ程の壮大なパノラマ。これが登山の醍醐味か、とちょっと思ったりなんかもする。さあ、山へくりだそう。

1999-09-23


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