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オフリードタイムの導入を

ドッグランの設立を要望する声が年々高まっているように思う。ニューヨークなどの海外の事例を知るにつれ、自由に犬をリードから放して遊ばせることが出来る施設を要望するのは、犬の飼い主ならば当然のことであろう。入園禁止の処置が取られている公園などで肩身の狭い思いをすることもなくなるし、犬にとっても思いきり運動でき、十二分にストレスも発散できる。いいことずくめのドッグランであるが、その設置には気になる問題も孕んでいることを指摘しておきたい。

それは、ドッグランを設置していない公園への犬の入園が今以上に厳しく制限されることが考えられることだ。現在、建前としてではあるが、犬の入園禁止処置が多くの公園で採られている。公園条例の適用によるものだ。ドッグラン設置が制度として決まった場合、犬の飼い主以外の公園利用者の理解を得るために、他の公園においては罰則規定を伴った建前でない入園禁止処置へ移行することも考えられなくもない。近隣住民や他の公園利用者の苦情で、犬の入園に細かい規定を設けず、一律禁止としてきた行政のやり方は、グレーゾーンを設けないことで行政の責任を回避することのみ腐心した姿勢をあらわしている。こうしたやり方を見る限りでは、罰則規定への移行を伴わなくとも、犬はドッグランに押しこめておけばいいといった安易な方向に進んでいくだろうことは容易に考えられることだ。当然のこと、周りの監視の目も厳しくなろう。

それでも、多くのドッグランが設置されれば問題はないのだが、それは現実的な考えではない。ドッグランの設置のためには、他の公園利用者の安全を担保するため、フェンス等で囲う必要があり、また充分な広さの確保も必要である。そういう条件を満たす公園は残念ながらそう多くはない。管理者の常駐も考えられることから、こうした点でも数は制限されよう。

ドッグランが出来たのはいいが、結果的に、家から遠いところで、毎日利用できず、そのドッグラン設置の公園の駐車場はいつも満杯、おまけに今までわりと自由に利用できた公園でのノーリードによる運動のみならず、入園すら他の利用者の監視により、一切出来なくなってしまった。こんなおぞましい結果にならないとも限らないのである。杞憂に終わってくれればいいのだが、こうした悪夢も考えられなくはない。

逆に、ドッグランなんだから、という理由で、義務や責任を果たさず、権利だけ主張する飼い主が出てくるかもしれない。現状においても、糞を放置したり、しつけのなっていない犬でもリードを放す無謀な飼い主だっているぐらいだから、その危険性も充分考えられる。だからといって、事細かく規定を設け、使い勝手の悪い施設になってしまったんでは本末転倒である。

個人的な見解だが、ドッグランの設置よりも、オフリードタイムを導入したらどうかと思う。これは、他の利用者が少ない時間帯を犬のために開放するといったものである。この制度は、ドッグランの設置よりもっと現実的で柔軟で、ドッグランの持つ本来の目的を達することが出来る方法だと思う。実際、現状において入園禁止の看板が立てられている公園でも、早朝や夜間にドッグラン化しているところは少なくない。こうした現状を行政が是認すればすぐにでも制度化が可能だ。

ポイントとしては、どの公園でも適用されるということ。全ての公園で適用可能とするためには、新たにフェンスなど設けることは予算的に見て難しい。従って、この制度を利用するためには、同時に基本的なしつけ基準の試験を義務付けることでハード面の弱点を補えばいい。ドイツで適用されているBH(ベーハー)同伴犬訓練試験制度は、オフリード時のコントロールの可否を見るもので、第三者に迷惑をかけないような犬にすることを目的としている。この試験に合格すると、多くの公園でいつでもノーリードで遊ばせる権利を得るという。いいものは見習うべきである。日本版BHに合格した犬だけがオフリードタイムを利用できるようにすればいい。

ドッグランのような隔絶された空間でなく、太陽の下で老若男女そして犬が共に楽しめる文字通りの共生空間の実現こそ理想の環境である。オフリードタイムの導入と日本版BHの実施は、そうした理想に近づく一歩になるに違いない。

2000-05-13


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