ベリー・ザ・ドッグ・サイト365 Days Memorandum



ベリー・ザ・ドッグ・サイト…飼育メモ「ベリーと格闘の365日」


プロローグ

◆ベリーが我が家にやって来た◆

我が家にベリーがやって来る!
その日を迎えるまでの葛藤と希望の毎日


決心

19942月頃

犬を飼おう。今まで漠然とは思っていたことだが、犬との生活を現実のものにしようと心に決める。しかしその前に超えなければいけない壁がある。家族に対する説得だ。子供がまだ小さく、手がかかる時期でもあり、犬の毛と小児喘息の因果関係も疑われていたことが、家内があまり乗り気でない理由である。結婚前に実家で飼っていて自分もよく面倒を見たという黒のアメリカン・コッカスパニエル「クロ」の死に直面したというのも、積極さを躊躇う要因であったろう。なぜなら元々彼女は犬が好きだからである。ぬいぐるみの延長としか捉えていない娘を仲間に引き込むことは当然である。外堀を徐々に埋めてから提案をする。犬の面倒は余程のことが無い限り、自分でやる。家の中、とりわけ家族の生活空間には犬の毛を入れない。この二つの自ら示した厳しい条件で、漸く家内の同意を得ることが出来た。娘の情操教育にもなるし、との最後の一言が最終的には態度を軟化させたのかもしれない。

さて、壁を乗り越えた当方に残された課題、それは犬種の選定である。既に数種類に絞られていたが。大まかな条件は、家庭犬であること、飼い易い雌、手入れがあまりかからない種類、中型犬、等々である。その中からイングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、イングリッシュ・セッター、ラブラドール・レトリーバーをピックアップ。中型犬という範疇ではラブラドールはどうかと思ったが、雌であれば選び方次第で20kg前半の犬もいるみたいだし、ということで候補に残した。結局これが功を奏し、いろいろな書物からの知識と、入手し易さといった観点からラブラドールに決める。


決定

19946月頃

犬を飼おうと決めた時から、毎月のように犬関連の雑誌を購入し、ブリーダーやらショップの情報を収集する。そんな時、「愛犬の友」のブリーダー情報に527日生まれのラブラドールの案内を見た。件の日は当方の結婚記念日である。運命みたいなものを感じ(仰々しいが)、電話を入れる。電話に出たブリーダーの小林さんは、やさしいお父さんといった感じの方で、当方ほっとする。ブリーダーさんていうと、どことなくごっつい感じの人を思い浮かべていたので、当然声も野太い感じだと思っていたからである。引渡し時期は一回目のワクチンが済んでから、出来れば生後二ヶ月経過しないと、とおっしゃるので同意した。また、以前から犬舎で複数の小犬の中から選びたかったので、7月末にお邪魔する旨を伝えた。やったー。まだ、対面は済んでいないのだが、もう何もかも終わった感じになっている。いやいや、気を引き締めてかからなければいけない。


準備

19947月頃

我が家に犬を迎える準備に心が弾む。犬を飼うための壁越えの一つ、室内飼いに対する諦めは、実は”当面”との理解。もちろんそんなことはおくびにも出さないが、ゆくゆくは良い子に育て、家内の同意を得た後、理想の犬との共生へ、と内心思っていた。そんな理想に燃えていた時期だけに、準備も楽しかった。犬関連の書物を読み漁り、大体必要なものをピックアップし、もちろん出来るだけ安く売っている店を見付けては購入するといった日が続く。まだ見ぬ犬の名前も、考えておかなくてはいけない。そんな時、娘が「ベリーにする」と言う。ストロベリー、多分テレビでも見て覚えたのだろう、最初の英単語から頂戴したものらしい。最初はそんな安易な名づけに異議を申し立てようとしたものの、これが案外言い易いし、雌の名としてもおかしくないので、晴れて「ベリー」に決定した。名前も決定したことなのでブリーダーの小林さんに再度電話を入れる。来たる720日にお邪魔する旨を伝えた。いよいよ我が家にベリーがやってくる。


対面

1994720日(水)

ベリーを迎えに行く日がやってきた。朝6時起床、6時45分出発、関越自動車道を一路新潟へ。1120分、三条燕到着、新潟南星犬舎の小林さんを待つこと20分、彼の先導で犬舎へと向かう。車には、木製のバスケットに新聞紙を敷き、その上にペットシートを敷いたものを用意。また、ワゴンの荷台には全面にピクニックシートで覆い、その上に新聞紙を敷いた。ほかに、大量の新聞紙、ごみ袋(東京都推奨のやつ)、ペットシートなどを用意した。

1220分、犬舎に到着。小林さんの御宅は、木戸を開けると広大な庭。本業は歯科医とのこと。実際、自宅入り口とは別個に医院の入り口もあった。木戸の右手には犬舎が。イエローの生れたてのラブが十頭以上もいた。さらにその右手の大きめの小屋にベリーたち兄弟と初対面。ブラックのラブはみな元気そのもの。胸が高まる。小林さんの自宅に案内され、父親トニーに対面。既に本などで知識を得ていたが、犬の選び方等を教えていただいた。その後、車で10分ほどにある広大な第二犬舎にいる母親を見せにもらいに、小林さんの息子さんの車に先導されて向かった。そこにはラブの成犬が二十頭もいる。日本では珍しいチョコレートの母親は小振りでバランスに優れ、一発で気に入る。そしていよいよベリーの犬舎に戻り、六頭の雌の中から三頭をピックアップし、顔が可愛かったのでベリーを選んだ。小林さんからはあまり大きくなりませんよ、とのアドバイスを受けたが、ショードッグにするつもりも無く、むしろその方が当方の希望であったため第一印象を優先させた。ドッグフードの食べさせ方などを聞き、半月分のドッグフード(マーチン社のテクニカル)をもらう。小林さんはブリーダーというよりも、趣味でブリーディングしている人で、この犬も20万円という値段。おまけに、地酒のお土産も頂き、恐縮する。帰り際、農薬にちょっと鼻を付けて、小林さんがすぐさま処置、ちょっと心配するが問題はなかった。なにしろ、松本サリンのことがあったもんで。喉が渇くだろうということで、ボトルに水を入れて頂き、またまた恐縮して別れを告げた。

車中のベリーは、多少泣いたりもしたが、概ねおとなしく寝ていた。途中、サービスエリアで食事。ベリーは車の中に。荷台に敷いた新聞紙にちゃんとおしっこをしていたので安心する。関越を抜けたのが午後6時過ぎ。家には830分に到着。いきなり洗うのはいけないとは知りつつも、二階の応接間に今晩だけ置いておくので、シャワーをかけ、簡単に洗う。バスタオルで水を吸い取り、サークルの中にいれ、しばらくじっとさせていた。三歳になる娘が面白がりベリーのそばを離れたがらなかったが、諭してわれわれも食事を。サークルから出したら早速粗相をした。本では、しそうになった時に、用意していたトイレにすぐ連れていくと書いてあったが、なかなか間に合いそうもない。難しいものだ。娘の縫いぐるみをベリーにいくつかあげ、じっとさせる。夜泣きを心配したが、取り越し苦労だった。明日からいよいよベリーとの生活が始まる。


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